いつまでも若々しくいたいという願いを持つ人は性別関係なく多いですが、歳を重ねるとともに髪の毛のボリュームダウンが気になるところです。
最近では年齢に関係なく、ヘアサイクルの乱れによる薄毛・脱毛に悩むケースも増えています。そこで、今回はそもそも正常なヘアサイクルとは何かということから、薄毛・脱毛の原因となっているヘアサイクルの乱れの原因・改善方法までを詳しく解説いたします。
Contents
正常なヘアサイクルは約4〜6年で1周期
健康な髪の毛の寿命は約4〜6年です。ヘアサイクルには、成長期・退行期・休止期という3つの段階があります。
期間 | 髪の状態 | |
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成長期 | 約4〜6年 | 頭髪全体の85〜90%にあたり、毛母細胞が盛んに細胞分裂することで髪が伸び続けます(1ヵ月に約1.2cm) |
退行期 | 約2〜3週間 | 頭髪全体の約1%にあたり、毛母細胞の分裂が終わり、髪の成長が止まります。毛乳頭が萎縮し、しだいに表皮に向かって移動します |
休止期 | 約2〜3ヵ月 | 頭髪全体の約10〜15%にあたり、髪が抜けるのを待っている状態 頭皮の奥では新しい髪が生えてくる準備中で、新しい髪に押し出されるように古い髪が抜け落ちます |
約10万本ある人間の髪の毛はそれぞれ別のタイミングで生え替わるため、ヘアサイクルが正常な状態であれば、髪のボリュームが減ることはほとんどありません。しかし、いろいろな原因でトラブルがあると、次の新しい髪が生えてくる前に抜けてしまいます。それが脱毛です。脱毛して髪のボリュームが薄くなるのが薄毛です。
1日に平均80〜100本の髪の毛が抜けるのは正常
正常な状態では、シャンプーやブラッシング時なども含めて1日に約80〜100本の髪の毛が抜けます。季節によって多少抜け毛の量が変わりますが(8〜11月ごろは増えるケースが多い)、もしもそれ以上に抜けていると思ったら、抜け毛の毛根を確認してみましょう。
出産直後の女性は妊娠中の分まで一気に脱毛することがある
ヘアサイクルには女性ホルモンが深く関係しています。妊娠中の女性は女性ホルモンが多くなるため、毛髪が退行期・休止期に移行しないで脱毛しにくい状態になっています。出産後、女性ホルモンの量が通常になることでヘアサイクルも戻るため、今まで抜けていなかった髪の毛が一気に抜けるのです。
多いケースでは全体の20%の毛髪が一度に抜ける(出産後脱毛)こともあるようです。慌てるかもしれませんが、この場合は新しい毛髪がしっかり生えてきているので、あまり心配はいりません。
抜け毛の毛根の先端が丸く膨らんでいるのは正常
髪は頭皮から出ている部分を毛幹(髪の毛)と呼び、頭皮の中にある部分を毛根と呼びます。毛細血管から運ばれてきた髪を作る成分(アミノ酸など)を毛根にある毛乳頭(もうにゅうとう)が取り込み、その成分をもとに細胞分裂することで髪が成長します。
そのため、毛根の状態を見ればヘアサイクルの状態がわかります。抜け毛の毛根部分が丸く膨らんでいる「こん棒状」で、毛先まで太さがほぼ同じであれば、ヘアサイクルは正常である可能性が高いです。
しかし、毛根が細くなっていたり、こん棒状でもヒゲのようなものが出ていたり、白い付着物がある場合にはヘアサイクルに何らかの異常がある可能性があります。また、毛先に向かって髪の毛が細くなっていたり、抜け毛の長さが短い場合にも注意が必要です。
ヘアサイクルの乱れを改善するための8つの生活習慣
ヘアサイクルを正常に保つには、髪だけではなく頭皮の健康状態にも気を配ることが大切です。睡眠不足や偏った食事習慣や喫煙、ストレスなどは、頭皮環境を悪化させてしまいますし、ホルモンバランスの乱れはヘアサイクルの乱れにつながります。
ここからは、具体的な改善方法をご紹介します。ヘアサイクルだけではなく、身体全体の健康にとってもいいものばかりですので、ぜひ取り入れてみてください。
1. 夜更かし&睡眠不足は厳禁!最低でも5時間は眠る
肌と同様に髪の成長にもゴールデンタイム(夜10時から夜中の2時まで)があります。遅くても日付が変わる前に就寝することをおすすめします。また、睡眠は最低でも5時間はとることが大切です。毎日は難しくても、週に何日かは実践できるように心がけましょう。
2. 激しい運動よりもストレッチやウォーキングを選ぶ
血行促進やストレス発散のためにも体を動かすことをおすすめします。しかし、激しい運動は逆に毛根を傷つけるケースもあるため、ストレッチやウォーキングなどがおすすめです。頭皮の血流がよくなり、髪を作る栄養素がしっかり毛根に届きやすくなります。
3. パーマやカラーリングは定期的にアフターメンテナンスをする
ヘアスタイルや白髪対策などのためにパーマやカラーリングをしている人も多いでしょうが、パーマ液は髪のタンパク質を溶かし、細毛や抜け毛・切れ毛の原因になることもあります。
カラーリング剤は刺激で頭皮の炎症の原因になることもあります。頭皮や髪の毛に負担をかけてしまうことも多いため、定期的にトリートメントなどで髪のメンテナンスをするのが大切です。
4. マッサージやブラッシングは優しい力で行う
乱れたヘアサイクルを改善するために頭皮の血行をよくしようとマッサージを取り入れようと考える人もいるでしょう。しかし、力加減などマッサージ方法を間違えると、頭皮に小さな傷ができるなど、かえって頭皮トラブルの原因につながるケースもあります。リラックスできる程度の優しい力で行いましょう。
ブラッシングもあまり力を入れると逆効果です。静電気の発生を抑える柘植(ツゲ)のクシや、ブタやイノシシの毛を使ったブラシの使用がおすすめです。
5. 正しい方法でシャンプーをする
皮脂腺や汗腺が多い頭皮は、皮脂や汗で汚れやすくフケやかゆみが起こりやすい部位です。一方でバリア機能や保湿機能は低く、皮膚トラブルを起こしやすいため、シャンプーは正しい方法で行いましょう。ポイントは次のとおりです。
- 就寝前にシャンプーをする(菌の過剰増殖・炎症や匂いの原因を防ぐ)
- 髪を濡らす前に軽くブラッシング
- シャンプーを付ける前にシャワーでお湯洗いする
- シャンプーは手で泡立ててから髪につける
- シャンプーの適量はミディアムヘアでポンプ2プッシュ、セミロングで3プッシュ
- シャワーの適温は38℃
- 爪や指を立てず、顔を洗うように優しくもみ洗い
- コンディショナー・トリートメントは毛先のみにつけて、すすぎはしっかり
- タオルドライは髪をポンポンと叩く感じでこすらない
- ドライヤーは頭皮から20〜30cmはなして使う。風が熱すぎないように
6. 女性ホルモンに似た働きを持つ栄養素を摂る
更年期に入り女性ホルモンが減少すると、髪の成長期の持続作用が弱くなることでヘアサイクルが短くなりがちです。女性ホルモンは30代後半くらいから減りはじめ、男性ホルモンが増加するため、ヘアサイクルが乱れやすくなります。女性ホルモンに似た働きを持つ栄養素を摂ることで改善が期待できるでしょう。
7. 禁煙と適度な飲酒を心がける
喫煙をすると血管が収縮するため、髪の成長だけではなく、全身の健康を損なう恐れがあります。薄毛・脱毛対策を考えても、禁煙することをおすすめします。
またアルコールは過剰摂取すると、アルコールを分解するために多くの栄養素が必要になり、髪の成長を妨げます。適度な飲酒であれば血行促進にもつながるため、量に気をつけましょう。
8. 栄養バランスを考えた食事をとる
髪の成長には、必須アミノ酸や亜鉛・ビタミンなどが多く含まれた食品を意識して摂ることをおすすめします。しかし、過剰摂取は逆効果になることも多いため、適度な摂取と他の栄養素とのバランスを考えた食事をしましょう。インスタント食品やジャンクフードは極力食べないほうがいいです。
食事だけでは摂りづらい栄養素はサプリメントの活用もおすすめです。また、睡眠中のゴールデンタイムに栄養素が行き渡るように、食べたものの消化が終わった頃の睡眠が効果的です。食事は就寝3時間前までに済ませましょう。
朝起きたら水分をしっかり摂ることで、睡眠中に回収した不要物が排出しやすくなります。フルーツやスムージはビタミンも豊富でおすすめです。
美容のためにダイエットを考えている場合は、食べ過ぎを防ぐ程度ならば問題ありませんが、極端な食事制限は髪の毛の栄養も不足しますし、ストレスの原因にもなるため注意が必要です。
ヘアサイクル改善におすすめの栄養素・食品
ヘアサイクルの乱れを改善するには、基本的に高タンパク質・低カロリーの食事とこまめな水分補給が効果的です。おすすめの食材を栄養素別にご紹介します。
タンパク質(アミノ酸)
髪を作るもととなるタンパク質は、特に重要な栄養素です。シスチン・グルタミン酸・グリシンなどのアミノ酸が多く含まれているものがおすすめです。特にシスチンはコーヒー・酒やタバコで消費されやすいので積極的に摂るようにしましょう。牛肉や赤身魚に多く含まれますが、食事だけでは十分な量が摂れない場合はサプリの併用をおすすめします。
ビタミンC・E
アミノ酸を毛根まで効率良く届けるには、血液循環をスムーズにする必要があります。ビタミンC・Eを意識的に摂りましょう。ビタミンEには抗酸化効果もあり、血液で栄養を運ぶ赤血球の活性化に有効です。ビタミンCは赤・黄色のピーマン、レモン、アセロラに多く含まれます。ビタミンEはウナギ・アユ・魚卵・モロヘイヤなどに多く含まれます。油溶性なので炒めものなどがおすすめです。
【注意】モロヘイヤは葉だけ食べよう
モロヘイヤの茎や種には毒性があります。食べるのは葉だけにしましょう。食用として流通しているものはあまり気にする必要はありませんが、家庭菜園などで育てる場合は注意が必要です。
ビタミンB
疲労回復や皮膚のターンオーバーをサポートする力を持つビタミンB群は、頭皮の新陳代謝に効果が期待できます。豚肉やレバーに多く含まれます。
亜鉛
成長をサポートする亜鉛もおすすめの栄養素です。カキ・レバー・納豆・ナッツ類に多く含まれます。汗をかくと失われやすいので、特に夏は多めに取るといいでしょう。
イソフラボン
女性ホルモンと似た働きをする成分なので、更年期女性の薄毛改善に効果が期待できます。豆腐・納豆、豆乳、きな粉など大豆製品に多く含まれます。
ポリフェノール・テオブロミン
抗酸化作用が高く、頭皮の老化防止に効果が期待できるポリフェノールや、血行促進効果で頭皮の血流を改善するテオブロミンも女性の薄毛に効果のある栄養素です。手軽に取るには、亜鉛などのミネラルも豊富なココアがおすすめです。
ウーロン茶、果汁100%ジュース
頭皮の皮脂過剰分泌に効果のあるウーロン茶やビタミン類が豊富な果物100%のジュース(無加糖)も気軽に飲めておすすめです。
過剰摂取に気を付けたい栄養素・食品
正常なヘアサイクルを目指すうえで、過剰摂取には気を付けたい栄養素・食品もあります。
イソフラボン
イソフラボンは過剰に摂取すると、逆に女性ホルモンのバランスを乱す原因になるケースもあります。一度にたくさん飲んでも大概に排出されるケースも多く、摂れば摂るほど効果があるというわけではありません。
他の栄養素も栄養バランスを考えて摂取しましょう。
皮脂の過剰分泌の原因になりうる食品
また、次のような食品は皮脂の過剰分泌や血行悪化の原因となりやすいため、摂りすぎは避けたほうがいいです。
- 乳製品
- ファーストフード
- インスタント食品
- スナック菓子
- 甘いもの
- 冷たいもの(身体を冷やし、血行悪化の原因につながる)
基本的に脂質・糖質・塩分の摂りすぎは避けましょう。メタボ体質になると、髪の成長に必要な栄養素が毛根までしっかり運べないこともあります。
劇的な変化はなくても日々の積み重ねが大切
薄毛・脱毛はヘアサイクルの乱れによって起こるケースが多く、日常生活の習慣や食事の栄養バランスなどの改善が効果的です。
今回ご紹介した方法は、劇的に効果が現れるというものではありませんが、日々の積み重ねによって徐々に、しかし確実に改善されていくものです。一気に行うとストレスを感じるケースもあるので、少しずつ改善できるところから始めていきましょう。
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